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ロシアのウクライナ侵攻から 1 年、 引き続き重要な役割を担う暗号資産

ロシアによるウクライナ侵攻の開始から 1 年が経過する中、数百万もの人々が家を失い、主要都市は砲撃を受け、ロシアとNATOの間の争いはさらにエスカレートしています。2023 年になってロシアは、ウクライナ東部ソレダルなどへの攻撃を再開。米国と英国はウクライナに武器供与の意向を表明し、プーチン大統領は米ロ核軍縮条約の履行停止を発表しました。 Chainalysisにとって、この 1 年という節目は、良くも悪くもロシアとウクライナの戦争で暗号資産が果たした大きな役割について振り返ってみる好機となりました。以下では、ランサムウェア攻撃や制裁逃れといった悪意のある行為から、被災地への寄付の促進といった前向きな利用例に至るまで、暗号資産が両国民に与えた影響に関するデータをご紹介します。この分析から、暗号資産が世界経済、特に東欧においてどのように浸透しているか、またこのような激動の時代における国境を越えた支払いでのその独自の有用性が明らかになります  暗号資産の寄付を募る親ロシア派グループ Chainalysisは、侵攻開始からおよそ 5 か月後に、ロシア軍の軍事物資購入のクラウド ファンディングや虚偽情報の拡散、さらに侵略支持のプロパガンダ作成などに取り組む 54 のボランティア グループを特定しました。侵攻開始以前の金額も一部含まれていますが、これらの組織が受けた寄付は、その時点で約 220 万ドルにも上っています。侵攻開始から 1 年が経過した現在では、特定できる親ロシア派の団体の数は約 100…

An aid worker surveys earthquake damage
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暗号資産による寄付がトルコ・シリア大地震の犠牲者の迅速な救済に貢献

2 月 6 日にトルコとシリアで発生した壊滅的な地震による死者は、現時点で 4 万 7,000 名に上り、世界の多くの人々が無力感を抱いています。このような惨状に加え、両国の政治的緊張によって物流が困難となり、いずれの国の犠牲者も援助を受けることが困難な状況に陥っています。このような規模の人道的危機が発生すると、人々が救援活動に寄付したいと望んでも、どこに寄付したらよいのか分からなくなることが少なくありません。最大の関心事は、どうすれば資金を本当に必要な人にできるだけ早く届けることができるかということです。 このような時勢において、暗号資産は人々への迅速な支援に向け、重要な役割を果たしてきました。例えば、何百万ドルもの暗号資産がウクライナ支援のため提供されています。暗号資産の利用者は、ロシアによるウクライナ侵攻開始直後の 2022 年 3 月 28 日時点で、既に 5,600 万ドル相当以上の暗号資産をウクライナ政府が用意したアドレスに寄付しているほか、デジタル通貨を受け入れる慈善団体への寄付も行っています。トルコ・シリア大地震の犠牲者救済に対しても、暗号資産が同様の役割を果たせる可能性があります。 Chainalysisでは、現在までに約 590 万ドルの寄付が行われたと推定しており、これは暗号資産がいかに国境を超えて資金を送るための実用的な手段であるかということを示しています。資金を受け取った団体には、トルコ内務省地震人道支援キャンペーン、トルコ赤十字社、セーブ・ザ・チルドレン、Project…

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法執行機関によるダークネットマーケットの閉鎖に続き、OFACがHydraおよびロシアの取引所Garantexにも制裁措置

本日は、暗号資産犯罪との戦いにおける非常に重要な日となりました。米国の複数の法執行機関とドイツの連邦警察の協力によって、ロシアを拠点とした、収益で世界最大のダークネットマーケットと言われる「Hydra Market」が閉鎖に追い込まれました。 さらに同日、米国司法省はHydraの主要なオペレータの1人を告訴し、また米国財務省外国資産管理局 (OFAC) はHydraを制裁対象として、100を超える暗号資産のアドレスをSDNリストに追加しました。同時にOFACは、以前Chainalysisがマネーロンダリングにおける役割を調査した、ロシアの暗号資産取引所であるGarantexについても制裁対象としました。  OFACが指定した全てのアドレスは、Chainalysis製品にて織別が付けられ、KYTをご利用のお客様には、設定に応じて「制裁対象」のアラート (sanctions alert) が表示されるようになります。  以下で、HydraおよびGarantexの違法行為を分析し、またOFACがリストに掲載した制裁対象アドレスを共有します。 Hydraとは? Hydraはロシア語圏だけを対象としているにも関わらず、ここ数年にわたり、突出して規模の大きいダークネットマーケットとなっています。 2021年、Hydraは全世界のダークネットマーケットの収益の75%に相当する、17億ドル相当の暗号資産を受け取っています。 Hydraはまた、その洗練された運営方法でも有名です。例えば、Uberに似た仕組みによって匿名の運び屋を手配して麻薬取引行ったり、買い手が人里離れた森に現金を埋め、売り手が後からそれを掘り出すといった、非接触型の手法で麻薬取引を行っています。Hydraは、ダークネットマーケットにおける取引の機密性やセキュリティを熟知しています。  Hydraやそのベンダーは、厳密なコントロールと管理が行われているインフラストラクチャーに備えられた複数の事前承認済みサービスを使って、ベンダーやサイバー犯罪者が暗号資産をロシアルーブルに換金できる、マネーロンダリングサービスを提供しています。  Hydraでマネーロンダリングサービスを提供するベンダーの例 実際に2020年、Hydraは他のダークネットマーケットや、盗難資金を保持したウォレット、ランサムウェアのオペレータ、詐欺などから、6億4,500万ドルに相当する暗号資産を受け取っています。 暗号資産を使った制裁回避に関する最近の懸念を考えれば、Hydraの閉鎖と制裁措置は正に最適なタイミングでの対応と言えます。このプラットフォームが提供するマネーロンダリングサービスが、制裁対象となっているロシアの企業や個人に便宜を供与している可能性があるからです。これらの対応に加え、米国の司法省は、ロシア在住のDmitry Olegovich Pavlovを、麻薬の流通とマネーロンダリングを目的にHydraの運営に関わった容疑で告訴しました。2015年以来、Pavlovは自身の会社であるPromservices…