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Ordinals: Bitcoin NFT等を 機能強化する新たなイノベーション

Bitcoin (BTC) は、2008 年にサトシ・ナカモトが発表した著名なホワイトペーパーで紹介されて以来、従来の金融システムに挑戦する形でトラストレスネットワークを導入するなど、デジタルエコシステムに革新をもたらしてきました。Bitcoinは様々な用途で利用されていますが、主にインフレ緩和のための「デジタルゴールド」、または分散型ピアツーピア (P2P) 環境で取引できる、通貨の代替手段手段として捉えられています。通常、Bitcoinはユーザーが構築することのできるブロックチェーンとは見なされていません。 

しかし現在では、Ordinalsプロトコルの登場により、開発者がBitcoinの個々のユニットにインスクリプション (刻印) を行い、Ethereum (ETH) などのブロックチェーンに見られるNFT (非代替トークン) と同様の機能を持たせることで、Bitcoinブロックチェーン上でイノベーションを起こすことが可能となっています。これによりBitcoinの可能性が大きく広がっています。最も古く、最も安全なブロックチェーンであるBitcoinによる新たな価値提案は、ネットワークに新しい機能をもたらし、イノベーターを引き付ける可能性を秘めています。 

今回の記事では、Ordinalsプロトコルの登場、Ordinalsの仕組み、従来のNFTとの違い、そしてOrdinalsトランザクションに関する統計値について説明します。

Ordinalsの起源

10 年近く前から多くの開発者がBitcoinネットワークの機能強化に取り組んでおり、取引機能の追加や金融商品の開発に注力してきました。NFTという用語が主流になる何年も前にあたる 2012 年、暗号学者のMeni Rosenfeldがホワイトペーパーを発表し、カラードコイン(目的に応じて色を変えるセパレート型のBitcoin)の概念を詳細に記述しました。2014 年、レイヤー 2 プロトコルであるCounterpartyにより、Bitcoin上でのデジタルコレクティブルのミントと取引が可能になりました。同様に、より効率的な取引の実現に向けたBitcoinのスマートコントラクトの展開を促進するために、2017 年、Stacksネットワークが登場しました。このような状況にも関わらず、その後これらのプロトコルの多くが人気を失い、開発者はレイヤー 2 トークンと分散型アプリケーション (Dapps) に取り組むためにEthereumネットワークへ目を向けるようになりました。 

しかし、今年はこの状況が大きく変わりました。2023 年 1 月 21 日、開発者であるCasey Rodarmorは、Bitcoinブロックチェーンに機能を追加し、「MAKE BITCOIN FUN AGAIN(Bitcoinを再び楽しいものに)」を提供するためにOrdinalsを立ち上げました。 Ordinalsは、革新的なブロックチェーン技術を導入し、コンテンツと新機能をBitcoin自体に組み込むためのレイヤー 1 プロトコルです。Ordinalsのアイデアは、2021 年 11 月のBitcoin Taprootアップグレード中に生まれ、ライトニングネットワーク経由で転送されるBitcoin上での資産発行をより容易なものにするレイヤー 2 プロトコルであるTaroが生まれるきっかけとなりました。これ以降、Ordinalsは、ネットワークのスケーラビリティとレイヤー 2 の可能性に関する議論を引き起こしてきました。

Bitcoin Ordinalsはどのように動作するのか?

序数 (ordinal number) の数学的概念に着想を得ることで生まれたOrdinalsは、Bitcoinの最小単位であるsatoshiに対して年代順に組み込まれています。Ordinalsはゼロから始まり、(米ドル紙幣のシリアル番号と同様に) マイニングされた順序に応じてシリアル番号が付けられます。Ordinalsには、画像、ビデオ、およびテキストファイルが含まれており、またこれらのファイルは、署名やその他の重要な識別データを通じて取引を承認するトランザクション「witness」に含まれています。 

BitcoinではWeb3インフラストラクチャーがサポートされていないため、Ordinalsプロトコルにもトランザクション用の独自のウォレットインターフェースがありませんでした。2023 年 3 月現在、サポートされているウォレットとしては、Ordinals Wallet、XVerse、Hiro Walletがあります。Ordinalsを使用してミントするために、Bitcoinの参加者はBitcoin Coreをダウンロードしブロックチェーンのノードと同期させる必要があります。次に、サポートされているウォレットを使用してプロファイルを作成し、そこにsatoshiを送信することができます。

Ordinalsは、Ethereumや他のブロックチェーン上のNFTとどう違うのか?

Ordinalsのミントは、NFTにおけるミントと似ていますが、NFTの場合よりもシンプルに、そしてより安全だと言われている点が大きな違いとなります。NFTファイルはオフチェーンに保存されて、ブロックチェーン上のリンクによってアクセスされ、スマートコントラクト開発者によって変更される可能性がありますが、OrdinalsのインスクリプションデータはBitcoinブロックチェーンに直接保存されます。ミント内容を完全にオンチェーンで保つことにより、Ordinalsは永続的で不変なものとなります。さらに、通常NFTにはロイヤリティが付随しますが、Ordinalsにはこれがありません。これらの特徴こそ、Rodarmorがインスクリプションを「Bitcoin NFT」ではなく「デジタルアーティファクト」と呼ぶ理由なのです。

Ordinalsトランザクション データ

この 1 年で、NFT市場への関心は薄れました。以下のグラフが示すように、Ethereum上のNFTプラットフォームが受け取る週毎の合計額は 2022 年の初めに増加し、4 月 25 日には 17 億ドルを超えてピークに達しました。

しかし 2022 年末には、FTXの崩壊と「暗号資産の冬」の開始によるためか、その価値がさらに低迷しました。 EthereumブロックチェーンのNFT市場は引き続き堅調で、2023 年の 1 月と 2 月には価値が安定しますが、その活動自体は史上最高値の際から大きく下回っています。

一方、最近のOrdinalsは活動がより活発化しています。Duneによれば、画像とテキストファイルを含むOrdinalsは、活動量が最高レベルを達成しました。2023 年 3 月 1 日 (ミント量が最も多かった日) の各ファイルについては、15,981 のテキストファイル、8,817 の画像ファイル、23 のアプリケーション、2 つの音声ファイル、1 つのモデル、および 1 つのビデオがありました。Duneでは、2 月中旬以降、Ordinalsのインスクリプションに関わる手数料が減少していることを確認していますが、それでも累積手数料は約 150 万ドルにおよんでいます。

出典元: Ordinals.

Duneは、これまでのOrdinalsインスクリプションの総数を 320,000 以上とリストしています。現在迄で最も注目すべきOrdinalsとしては、CryptoPunksへのオマージュであるOrdinal PunksTaproot Wizardsがあります。Ordinalsはかなり新しいプロトコルであるため、ほとんどの暗号資産エコシステムの参加者は、Ordinalsの作成や取引の方法をまだ知らない可能性があります。Ordinalsが主流になれば、より速くインスクリプションが増加する可能性があります。

Ordinalsは、NFTやその他の関連するデジタルトークンに対する関心の再燃に貢献する可能性があります。例えば、Bitcoinは最近取引量が増加し、2022 年 8 月以来最高の水準に達しました。断定はできませんが、Ordinalsの登場がこの動向に貢献した可能性はあります。最近、Stacksトークン (STX) の価格も上昇し 160% を超えました。おそらくこれは、OrdinalsがBitcoinのスマート コントラクト開発への関心を活性化させたことがきっかけと考えられます。

Ordinalsの未来

Ordinalsプロトコルは、既にBitcoin NFTという未開拓な大規模市場への扉を押し開いています。Ordinalsには、他にも興味深い潜在的なユースケースがあります。例えば、ESGの取り組みに関心を持つマイニング担当者は、Ordinalsを使用して、マイニング対象のsatoshiにESGコンプライアンスを組み込むことができます。また、Ordinalsでは、オーダーフローではなくシリアル番号を使うことで、窃盗コインの追跡に役立つかもしれません。 

もちろん、このような潜在的なユースケースや現在人気のあるNFTのユースケースの場合でさえも、OrdinalsがBitcoinの代替となり得る可能性には懸念があります。Bitcoinは他のBitcoinと交換が可能になっていますが、Bitcoinの個々のユニットに価値を付与したり減少させることができるOrdinalsによって、価格にその交換性が反映されなくなる可能性があります。このため、多くのBitcoin愛好家はOrdinalsの登場に不満を抱いており、彼らは世界初の暗号資産におけるサトシ・ナカモトの当初のビジョンと矛盾すると述べています。また、satoshiにファイルを埋め込むことを許可することで、OrdinalsがBitcoinネットワークに与える負荷が増大することについて懸念を表明する人もいます。しかし、このような状況にも関わらず、Ordinalsは、Bitcoinにおけるブロックチェーンへの関心の高まりに拍車をかけており、現在の弱気市場における明るい話題となっています。

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